【徳を積む】67

うちのおばあちゃんは明治生まれ。

若いころは戦争の人生だった。

家族が死んだり、生き別れたり、
苦労して苦労して人生を送ってきたそうだ。

おばあちゃんが亡くなったときに
親戚のおばさんが
あの人は苦労した人生だった。
今度崇史ちゃんにも教えてあげるね。

と涙ながらに言っていた。


おばあちゃんの住んでた
ケアハウスを引き払いに行った時

僕はそこで一番
仲良かった友達に聞いてみた。

「僕のおばあちゃんは、
どんな人生だったて言ってました?」

そしたらお友達はこう答えた。

「鳥山さんからは
辛かったって話は
一度も聞いたことがない。
幸せな人生だったんだろうね。」


それを聞いた時
おばあちゃんの覚悟を感じた。

中には
自分がどんなに苦労した
人生だったか
愚痴や不満を言う人もいる。


でも、おばあちゃんは、
それらを自分の中に閉まって
外にもらさなかった。

孫には負の遺産を渡さなかった。

「徳を積む」とはこのことだ。


僕はそれから
おばあちゃんの過去の
苦労話を聞くのはやめた。

尊敬する生き方だ。
おばあちゃんの意志を受け取った。
悪い言葉や辛い話は
人にもらさない。

いつもニコニコして
周りに幸せを広げる
おじいちゃんに僕もなろう。