【いいよ】124

「これやっていい?」『いいよ』「あそこ行っていい?」『いいよ』
いつも語尾が上がり気味みで答えてくれるその言葉を聞くたびに、僕の心は和らいでいったんだ。

いつしかその口ぐせは、
僕に移ってしまったようだ。

『いいよ』

これは、初めて付き合った彼女がよく言ってくれた言葉だ。

俺のやること、言うことに
『いいよ』って、いっぱい言ってくれた。

楽になる瞬間だった。
受容されてる感じがするんだ。

その心地よさが、
今でも心に残っている。

だから僕も、たくさんの人に
この言葉を伝えるようにしている。

でも日常では恋人や子どもに対して
たくさんのあれも「ダメ」、これも「ダメ」
あふれている氣がする。

そういう言葉が出てしまったら
それ以上に
『いいよ』って言ってあげよう。

そして「ダメ」を自分に対して
出してしまったら
その何倍もの『いいよ』
を与えてあげよう。

自分のやることに
『いいよ』って
愛を込めて。

【迷う】123

これからどうしよう?何をしよう?
決められない。迷うときって人生にあると思う。
僕は、それはとても幸せな時間だと思うんだ。
迷っても、いつかは決めて、その道に進み出す。
進んだら、出会いがあったり、見える景色が変わっていく。

迷ってる間というのは
実は全ての可能性を持っている。

まだ未来は決まっていない。
何をしてもいいんだ。
どこへ行ってもいいんだ。
全ての選択が出来る状態。
贅沢な時間なんだ。

僕は23歳のとき
東南アジアをバックパッカーをした。
その第一歩は
ヴェトナムのホーチミン市から。

一日目の宿だけ取っていて
次の日の朝ホテルを出たとき
どっちへ行こうか迷った。

その瞬間、氣づいた。
どっちへ行ってもいいんだ!
右に行っても!左に行っても!まっすぐ行っても!
僕は自由だ!

歩き出したら決まってしまう。
決めることはそれ以外の選択を断つこと。

迷ってるとき
それは何を選択してもいい、
全ての可能性を持っている瞬間。

思いっきり楽しもう。

【観手に咲く】122

先日、内田裕士さんの講演会で素敵な言葉を教えてもらった。
「花は観手の心に咲く」
世阿弥の言葉だそうだ。
美しいものを見たときに、感動するのはそれが美しいからではない。
見る人が、美しいと感じているから美しいのだ。

心が荒んでいれば、どんなものもよいとは感じることが出来ない。
感動できる人は、何を見てもそこに花を感じることが出来るんだ。

僕は、122回、こうやって紙に言葉を書いて発信している。

言葉というのは、人にとってタイミングで
心に刺さることがあると思う。

それは、僕がすごいんじゃない。

あなたが、受け取り
あなたが心に花を咲かせたんだ。

素晴らしいのは、あなたの心なんだ。

花は観手の心に咲く。

美しい、と思う心こそ美しい。

【立ち位置】121

年の始めに、今年の目標や抱負を設定をした方も多いと思う。
僕も毎年お正月は目標と夢リストを更新する。目標設定は人生を豊かに生きるためにはとても大切なこと。それを何度も学ばせてもらってきた。
そして、目標(ゴール)以外にもう一つ大事なことがあることも。
それは、今の立ち位置(スタート)を知ること。

例えるなら、旅行。

旅行は目的地がある。
放浪の旅でなければ、
あそこに行こう!と決めて出発する。

旅行代理店に電話して
「札幌に行きたい」
と言ったら目的地の他に
もう一つ聞かれることがある。

それは、
「どこから出発しますか?」

羽田から?成田から?
大阪から?沖縄から?
隣の小樽から?
海外から?

自分がどこからスタートするのか
わからなければ

ゴールがいくら明確になっていても

手段も、時間も、費用も、わからない。

自分はもちろん、

そのゴールをよく知ってる人でさえ
あなたを導くことが出来ない。

今、自分はどこに立っているのか?

目標を想うとき、自分の位置を
今一度確認しよう。

お正月も終わり
いつもの日常が始まっているこの頃
年始に決めた目標を確認すると共に
今の立ち位置を
見つめなおしてはいかがでしょうか?

【パワーストーリー】120

山崎豊子の小説『沈まぬ太陽』の中で忘れられない話しがある。
主人公が、アフリカで聞いた語り部の話。
その昔、ある青年が奴隷として村から連出され、知らない土地へ連れて行かれた。
途中、その船が難破して一人生き残り、なんとか同じ言葉を話す部族のもとに帰ってきた。しかし、村がどこにあるかわからない。わかるのはキリマンジャロの山が見えていたということだけ。
青年は何度も試みたが、ついに故郷は見つけられず、その村で奴隷狩りの恐ろしさを伝える語り部となった。

僕はそれを読んだとき
時代を経て、はるか異国の地までこの物語が届くなんて、すごいと思った。

やがて、
ストーリーというのは
胸に響き、人に伝わり、心に残る。
ということを知った。

そんなショッキングなことでなくとも
日常の中で物語、ストーリーは活きてくる。

それは僕が昔、
髙島屋で働いていたときのこと。

空いている時間で
デパート包装を教えてもらった。

どんな形の商品も
バラの印刷された
きれいな包み紙で包んでいく。
そして、最後に、
「髙島屋」という赤いテープでとめる。

それが出来るようになりたくて
何度も練習して、やってみた。

最後まで紙が
ゆるまず包むのは難しいので
途中透明のセロハンテープでとめた。

そしたら、河端くん!と止められた。

「こんなベタベタ、
セロハンテープでとめて!
ダメよー。
いい?
お客様がご自宅で開けるときを想像して。
「髙島屋」の赤いテープを
一枚はがしただけで
ヒラヒラヒラって包みが全部とれて
楽しみにしてた商品と出会えるの。
それが美しいんじゃない。」

お客様と商品の
出会いのストーリー。
これは僕の心に残った。
家でその瞬間がありありと連想出来た。

単に
セロハンテープは使っちゃダメよ。
って言われてたら
忘れてしまっていたかもしれない。

僕は今でもデパート包装の包みを
見るたびにそれを思い出す。


小さなことでも
ストーリーはあふれている。
作り出すことが出来る。

そして、多くの人に伝わるストーリーを
パワーストーリーという。

作り出そう!
発信しよう!
伝えよう!

あなた自身が語り部となって
ストーリーを紡いで行こう。