【感情】175

高校のときの教科書に、障害を持った子どもを引き取って育てたおばあさんの話がのっていた。何をしても反応のない子を、他の人に無駄だと言われながら、一生懸命世話をした。あるとき、全てに無反応だったその子が自分の意思でピアノを弾いていた。それから堰を切ったように、自分として、命を生きだした。
そしてあるとき、
大泣きをしたことがあった。
大声をあげ、
涙を流し、
鼻水やよだれを垂れ流し、
めいいっぱい泣いた。
その姿が「美しい」と書かれていた。

僕はそこに
ちょっと引っかかったのを覚えてる。

なんで「美しい」っていう
表現なんだろう?

そんな光景に出会ったら
本当にそう感じるのだろうか?

高校時代のちょっとした疑問は
大人になって、わかるときが来た。

自分の壁に向き合って
思いきり泣いている人を見た。

僕はその姿を

「美しい」
と感じた。

この美しさは、どこから来るのだろう?

それは「感情」だった。

感情が美しいんだ。

大人になるといつしか
周りに合わせて
人の目を氣にして

自分の感情を抑え込んで
蓋をして生きていく。

美しさを隠して
自分を殺して。

だからこそ
解き放った姿は格別に美しいんだ。


いいんだよ。
自分の中の美しさを
もっと表現して

いいんだよ
自分の中の美しさを
もっと届けて

いいんだよ。
自分の中の美しさに
向き合って


感情は美しい。

あなたの感情は美しい。