![](http://ta-ca-si.com/wp-content/uploads/2020/05/182【星月夜ほしづくよ】182-768x1024.jpg)
円覚寺での坐禅摂心。午前3時に起床し坐を組む。開け放たれた窓からは冷氣のみ入り、窓と外の境界はおぼつかない。やがて空が白み、景色がぼんやりと見えてくる。山の端(は)と空の淵の境目がゆっくりと形を成して行く。
美しい光景だった。
坐禅を組むときは無心のはずが
素人の僕は
外の景色の美しさと共にいた。
僕は札幌の郊外で育った。
森がすぐ近くにあって
毎晩のように遊びに行ってた。
深夜、よく森の高いところに登って
満点の星空を見上げた。
空の頂点は、星を除いて真っ暗なのに
360度の山と空のつなぎ目だけ
淡く光る。
街の明かりでもない
不思議な光。
はるか遠くの
山と空の隙間に
時を捧げる美しさ。
心の底から感動する景色を見たい。
その願いは遠くに行かずとも
いつも目の前にあった。
美しい景色を見たいのなら
空と大地を味わおう。
山の端の淡き光に浮かぶ天蓋
星月夜の美しさは
何物にも変えがたい。