259【来年も出ようね】

YOSAKOIソーラン祭りのメイン会場である8丁目ステージ。あそこで待機するときは特別だ。3チーム前くらいから斜め後ろに待機して、前のチームがステージに上ったらステージ後ろに移動する。だんだん前に詰めて、ステージへ上がるスロープ下の下へ。演舞1分くらい前になったらスロープを途中まで登って待機する。そこからは、前のチームの背中と、たくさんのスポットライトが見える。大勢のお客さんがいるのを感じる。今からこのステージに立つ!あの緊張感とワクワク感がたまらない。
僕は20年連続で立ち続けることができた。
何度もいろんな体験を味わった。
その中で、1回目の出来事は
いつまでも忘れない。
僕が初参加したのは
母の作ったチームでだった。
その年、チーム自体も初参加だった。
札幌のチームは水曜、木曜に
8丁目ステージを踊る。
つまり、
8丁目ステージがその年の
最初の演舞になるんだ。
チーム自体が初参加だから
チームのみんなも初参加。
初参加の初演舞。
みんな何ヶ月も練習して、
そして、ついにデビューの一本目。
もうすぐ出番!
斜め後ろ、後ろ、スロープ下
そしてスロープの途中へ。
みんなで顔を見合わせながら待機してた。
ドキドキ。
そのとき、チームの一人の
小学生の女の子が言った。
ニッコリ、顔をまん丸にして
「先生、来年も出ようね」
今から踊るんだよ!
まずこれからだよ!
と突っ込まれてたけど、
僕はそのセリフが忘れられないんだ。
その子は
まだ踊ったことのないステージの下で
今から踊るのに
初めて踊るのに
まだ出たことないのに
もう来年も出たい!
ってなったんだ。
ワクワクして、仕方がない。
それが伝わってくる言葉。
あの舞台に上がる直前
ステージ下から見える景色は
吸い込まれるような
ワクワクの魅力が詰まってるんだ。