267【この身に変えて】

ご飯を食べる前に唱える言葉がある。

「いただきます。あなたの命をいただきます。あなたの命をこの身に変えて、世のため人のために使わせていただきます。」

僕らは命をいただいて、自分の身体に変えている。

その命たちは、どんな景色を見てきたんだろう。

鳥が卵から孵ったときに見る日の光。魚が泳いで感じた水の流れ。植物が、種から出たときの土のやわからさ。根を張って水源に行き着いたときの冷たさ。

自分が食べる、命たちがどんな経験をしてきたか。それを想像する。

命たちは

ヒトとして生まれた僕が

決して味わうことのない景色を

知っている。

それを食べることで

自分の命に取り込むことができるんだ。

だから、

今度は僕の中に移った命に

ヒトでないと味わえない

景色を見せてあげるね。

根を張って動くことのない植物には

歩いて移動するのは、こんな体験なんだよ。

水の中にいる魚には

大地の感触はこんなに硬いんだよ。

文化を、芸術を、感触を、愛情を、

命を移したこの身を通して

一緒に味わう。

それを誓って

ご飯を食べるんだ。

食事が終わったら手を合わせて唱える。

「恵みの食事が終わり、

命に新しい力をいただきました。

ごちそうさまでした。」

食事をするたびに

涙が出るほど

有り難いって思うんだ。

#フォーチュンギフト

266【ムカつく】

この前めっちゃムカつくことがあった。メッセージ見た瞬間プッツーン!はぁ?何言ってんの?怒りが身体を支配した。
こんなときにはどうするか?
相手の立場になって、客観的に分析して、この現状を生み出したのは自分の日頃の歪みだと捉えて、感謝と学びに変える。
うん、素晴らしい考え方だね!
だが断る!!
俺が大切にしているものは自分の感情だ。
 
自分の感情を蔑ろにしてまで
すべき感謝はない!
 
俺は今怒ってるんだー!!!
これでいい。
 
キレていい、怒っていい。
ムカついてる私、100点!
I’m OK!
 
自分の感情を押し殺してまで
受け入れようとしなくていい。
 
受け入れるなら、
自分の感情。
 
感情を思いっきり味わおう。
 

265【ないもの】

道を歩いていたら突然、幸福感に包まれた。それは、ないものに目を向けた瞬間だった。
道を歩いていて、後ろから銃を突きつけられることがない。横断歩道を渡っていて、地雷を踏むことがない。空を見上げていて、爆弾が降ってくることがない。なんと平和に、目的地まで行けるんだろう。
 
舗装された道路は土埃が舞うことはない。
落ちたら怪我する穴も空いてない。
襲われる野犬もいないし
一寸先が見えない暗闇の道もない。
 
何もなく、歩いていられる
かけがいのない日常。
 
なんて幸せなんだろう。
 
 
あるものだけでなく、
ないものに目を向けよう。
 
ないものたちの輪郭の中に
尊い今が浮かび上がってくるんだ。

264【人は変われる】

自分がセミナーで話していたころ、付き合いの長い友達を呼んだことがあった。セミナーが終わって「どうだった?」と感想を聞いたら、意外な一言が返ってきた。
「ごめん、全然聞いてなかった」
「え?そうなの?」
「だって、あのタカシがこんなふうに人前で話すなんて、信じられなくて!内容が全く入ってこなかった!」
「俺そんなんだったっけ?」
「そうだよ、タカシはいつも、下向いてゴニョゴニョしてて、何言ってるかわからなかったのに。
こんな堂々と、人前で話すなんて!
あなたは『人は変われる』という生き字引だよ!」

そう、言われた。

そうか、そんなに変わったんだ。


これは、積み重ねた結果だ。

繰り返し繰り返し
一流のスピーカーの話を聞いて
録音して文字に起こして
何度も声に出して練習して
人前で話す経験を積んで
少しずつ出来る様になったんだ。

特別な才能があったわけではない。

むしろ逆だ。
昔は酷かった。
それは友人が証言している通り。


誰にでも出来ることを
重ねてきただけなんだ。


どんなに下手でも
努力と実行によって
変わっていく。


繰り返し、積み重ねたその重みこそ
人を変える大きな力になるんだ。

263【さらに一歩】

先日、道を歩いてると、ちょっと外を歩くような格好ではないおばあさんが目に入った。キョロキョロして、ここがどこかわからないように見えた。ちょうど雨も降り出してきた。一度通り過ぎたが、氣になった。そのまま過ぎ去るか、戻って関わるか。もしも、その人が自力で帰れなくなってる人だったら、まずいかもしれない。僕は、一歩踏みだす選択をした。近づいて声をかける。
「大丈夫ですか?家わかりますか?」
うん、うん、と頷く。

そうか、わかってるなら大丈夫か。
そこで、立ち去ることも出来た。

でも、やっぱりちょっと様子が変だ。

選択する。
さらに一歩踏み出そう。

もう一度声をかけた。
「本当に大丈夫ですか?」

そしたら、
「わー」と大声を出されて
払い退けられてしまった。

ああ、しまった。こういうときの
声のかけ方間違えたのかな。
どうしたらいいかわからない。

もしかしたら、
ただ単にセンスが独特な方で
知らない男の人にいきなり心配されたことに
腹をたてたのかもしれない。

僕は2回声をかけたけど、
それ以上はどうしたらいいかわからない。
もうやれることはない。

そう思って立ち去ろうとした。

でも、氣になる。

本当にそれでいいの?

選択する。
さらにもう一歩踏み込もう。

去った方向に歩いていくと、
途中で見つけた。
一人で喋ってて、
どうも様子がおかしい。

でも僕だと対応がわからない。
きっと誰かがなんとかするだろう。
ここまで見にきただけでもよくやったよ。

それでいいの?

選択する。
さらにもう一歩前に行こう。

相談するために交番に行った。

そしたら、巡回中でいなかった。

警察もいないならしょうがない。
やるだけのことはやったよ。

それでいいの?

選択する。
さらに、さらにもう一歩!

交番には直通の電話機があった。

受話器をとり、
状況を伝えた。

どうも様子がおかしてく
雨も降ってきてるので心配だ。
だけど、僕は力不足で
どうしたらいいかわからない。

わかりました。人を向かわせます。

と答えてくれた。

そこまで踏み込んだ。

結局
そのあとは見失ってしまって
わからなくなった。
無事に帰れたらいいのだけど。


今回、もし、
僕の心配したような人でなかったら
非常に失礼なことを
したことになるかもしれない。

でも、
本当に困っている人だったら。

そう思って、踏み込んだ。

一歩で止めず、
もう一歩、そしてもう一歩。
そしてさらにもう一歩。

10回お節介になったとしても
1回誰かを救う手助けになれるなら

僕はまたもう一歩を踏み出すつもりだ。