267【この身に変えて】

ご飯を食べる前に唱える言葉がある。

「いただきます。あなたの命をいただきます。あなたの命をこの身に変えて、世のため人のために使わせていただきます。」

僕らは命をいただいて、自分の身体に変えている。

その命たちは、どんな景色を見てきたんだろう。

鳥が卵から孵ったときに見る日の光。魚が泳いで感じた水の流れ。植物が、種から出たときの土のやわからさ。根を張って水源に行き着いたときの冷たさ。

自分が食べる、命たちがどんな経験をしてきたか。それを想像する。

命たちは

ヒトとして生まれた僕が

決して味わうことのない景色を

知っている。

それを食べることで

自分の命に取り込むことができるんだ。

だから、

今度は僕の中に移った命に

ヒトでないと味わえない

景色を見せてあげるね。

根を張って動くことのない植物には

歩いて移動するのは、こんな体験なんだよ。

水の中にいる魚には

大地の感触はこんなに硬いんだよ。

文化を、芸術を、感触を、愛情を、

命を移したこの身を通して

一緒に味わう。

それを誓って

ご飯を食べるんだ。

食事が終わったら手を合わせて唱える。

「恵みの食事が終わり、

命に新しい力をいただきました。

ごちそうさまでした。」

食事をするたびに

涙が出るほど

有り難いって思うんだ。

#フォーチュンギフト