287【着く】

バックパッカーの旅に出発するときのこと。成田空港で不安になった。海外で、一人で、生きていけるのだろうか?帰りの飛行機は取ってない。帰りたくなったとき、向こうで飛行機を取れるだろうか?怖くなって、震えた。でも、行くって決めてたから。僕は飛行機に乗った。

そして、飛行機が飛び立ったとき、思った。

ああ、あとはもう現地に着くんだ。

僕の夢だった旅が、今始まった。

僕がやったのは、

飛行機に乗ったこと。

怖くても、不安でも。

関係ない。

乗ったら、着くんだ。

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286【資格】

人に何かを言う時、じゃあ自分はそれが出来てるのかって考えてしまって、言えなくなってしまうときがある。自分にはそれを言う資格なんてないんじゃないかって。じゃあその資格はどうすれば手に入るのだろうか。僕は思う。資格なら、すでに持っている。それは、そう思ってしまったから。

思ってもないことなら

言わなくていい。

でも思ってしまったなら

あなたの中にすでにそれはある。

もしいつも、

言いたいけど、資格がないから

やっぱり言えないと

飲み込んでしまっているのなら

ほんとうはどうしたいのか

自分の心に

素直に耳を傾けよう。

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285【お皿】

よく行ってたお店での出来事。僕はそこのマスターが好きで、一人でよく食べに行っていた。たまにお酒を頼んで、お客さんが少ない時は、マスターと話しながら飲んでた。そこには一人の従業員がいた。ある日行った時、その人の様子がおかしかった。うまく歩けないようで、フラついていた。大丈夫かな?と心配になった。僕以外のお客さんが帰ると、その人はお皿を片付け始めた。でも、足がおぼつかない。

マスターもそれを見て

○○さん、やらなくていいから!

と言っていた。

そして続けてマスターは言う。

○○さん、

もう帰って。

そんなんじゃもう

仕事出来ないでしょ。

隠れて飲んでるの知ってんだから!

あららー。

酔っ払ってるのねー。

そりゃ帰ってと言われるわー。

でもその人は、

フラフラしながらお皿を重ねて

流しに下げていく途中に

よろけて落としてしまった。

ガッシャーン!

おいおい、大丈夫か?

マスターが僕に

すいませんね。

と言いながら、

その人の元に行く。

その人は、

割れたお皿を拾おうとしている。

でも

酔ってるから危なっかしい。

それを見てマスターが言う。

怪我するから。

片付けなくていいから。

危ないから。

やらなくていいから。

怪我したら大変だから。

僕は聞いてて、

感動した。

だって、僕だったらね。

仕事中にこっそり酒飲んで

店のお皿割った従業員なんかいたら

何やってんだー!

だから言ったろう!

店のもの壊しやがって!

もう帰れー!!

と怒鳴るよ。

だけど、

そのマスターは。

危ないから。怪我するから。

と、

お皿を割ったことには

一言も触れず。

その人の心配事しか言わなかった。

僕は、ただその声を聞いていた。

その店は、今はもう

閉めてしまった。

そしてマスターが今

どうしてるかはわからない。

でも、もしまたどこかで

店をやってるなら

ああいう人の店で

僕は食べたい。

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284【距離】

作物や果実は、実ったところから手元に届くまでに、たくさんの人の手を通り、遥かな旅路を経てやってくる。北海道で採れたもの。オーストラリアで育ったもの。アメリカ大陸産のもの。海を渡り、大地を駆けて、長い旅路を経験してきている。僕はそれを167【旅をする食事】で書いた。でももっと長い旅のことに氣づいた。それは、その実に宿した光。そう、太陽の恵みのこと。

太陽ははるか遠くから光を届けてくれている。

その距離、1億5000万キロメートル。

はるか彼方だ。

1億5000万キロメートルとは

飛行機で行っても20年かかる。

車で飛ばしても170年かかる。

その果てしない旅路を越えて

やってきた光で育った作物たち。

それをいただくということは

太陽からの遥かな距離を

この身に宿すということなんだ。

宇宙の旅を、味わおう。

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283【世を去る】

人はいつかこの世を去る時がくる。そのときは、ただ命が尽きて去るのではなく、愛する人に命を分けて旅立つんじゃないか。そう感じる。

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