311【瞬間】

外に出ると、雨が降り出してきた。僕は傘をさして歩いていた。すると、ガードレールの外の道路に、おばあさんとおそらくその娘さんが立っていた。傘もささずに雨があたっていた。どうやらタクシーを待っているらしい。すぐ来るからさしてないんだろう。僕はそう思って数歩、通り過ぎた。でも、引っかかった。大丈夫かな?

最近、意識していることがある。

それは、

思った「瞬間」に動くこと。

違和感をそのままにしない。

今この瞬間、思ったことをやろう。

僕は数歩を引き返し

2人の上に自分の傘を差し出した。

タクシーはすぐにつかまった。

無事に乗り込むまでの間

「ありがとうございます。」

「感動です。」

と言われて

僕も嬉しかった。

だけど

それ以上に嬉しかったのは

自分がその「瞬間」に近づけたこと。

前だったら

違和感を都合よく解釈して

まぁいいか、と

そのまま通り過ぎていた。

氣づいてから実行するには

段階がある。

1.氣づいてもやらない。

2.氣づいてもやらなかったけど、心にひっかかる。

3.氣づいてやる。

4.氣づいてすぐやる。

今までは2が多かった。

今回は3に行けて

しかも4に近い3になれたことが

何もよりも嬉しかった。

次は4の段階。

氣づいた瞬間に行動に移す。

それが目指す生き方だ。

#フォーチュンギフト

310【通っただけで】

てんつくマンのセミナーだった。僕は早めに会場についたので、席に座ってどんなことがこれから始まるのか楽しみにしてた。そのときだった。僕の横の通路をサーッと通った人がいた。そのとき、あっ!と思った。思わず席を立ち、追いかけて声をかけた。

「すいません!

実は今、あなたが横を通ったとき、

すごい素敵だなと思って、

思わず声をかけました。」

連絡先を交換した。

後年、やっと再会出来た時

その人は楽読という志事を始めていた。

河端さんも

やってみるといいですよ。

と言われ

あなたが勧めるのもなら

やってみます。とその場で購入した。

当時の僕には

決して安くなかったけど

この人が言うなら。と思った。

楽読自体は本当に

値段以上の価値があった。

ただそれは

やってみたからわかったこと。

申し込む時点では

この人のこともまだよく知らない。

その商品のこともよくわからない。

それでもその決断が出来たのは

あのとき

僕の横を通った一瞬で

全てが決まったんだ。

ただ横を通っただけで

この人が言うことなら信頼できる。

この人となら一緒にやりたい。

僕もそう思わせられる

在り方になれるよう

毎日をキラキラ生きていこう。

#フォーチュンギフト

309【咲かせる】

今まで関わった人たちを集めるとどのくらいの数になるだろう。目の前の広場に、その人たちを集めたイメージをした。おそらく広場を埋め尽くすほどの人になる。「その人たちに向けて、何か伝えたいことはありますか?」僕はその質問に、答える言葉を持っていなかった。ありがとうや感謝という言葉では伝えきれない。言葉で表せる限界をとうに超えていた。

人生は人との関わりで

作られていく。

つまり、この、

広場に集まった人たちとの関わりで

僕という人間は形成された。

広場の真ん中に一本の樹があった。

その広場の大地に根を伸ばし

養分を吸って育った菩提樹だった。

僕は広場に集まった人たちから

愛情や眼差し

お世話になったことという

養分をもらって育った存在だ。

つまり

その樹は僕自身だ。

言葉で伝えられない想いは

その樹を実らせ

咲かせることでしか

その人たちに伝えることは

出来ない。

関わってくれた全ての人へ、

自分自身を咲かせることで

想いを示すんだ。

#フォーチュンギフト

308【足跡】

森の中を一列になって歩いていた。前を行く人が、一歩ずつ、進んでいく。地面に置いた足を離すと、踏んだところに跡ができる。僕はその跡の上に、自分の足を重ね進んでいった。ただ静かに、足跡をたどる。そのとき感じた。これが先人の進んだ跡をたどることだと。重ねた足跡はより強く大地を固め、導となって歩みを促す。

そして自分の後ろも

人が連なっている。

自分の足跡も

やがて後ろの人が踏み進んでいく。

そうして

たどった足跡が重ねられ

歩んだ想いが受け継がれ

道となるんだ。

#フォーチュンギフト

307【素直】

ある日夢を見た。こんな夢だった。窓が開いていた。それを誰かに「閉めて」って言われた。僕は閉めたくなくて「外の音が聞こえていいじゃないか」と言った。そしたら、「車の音がうるさいから」と言われた。僕は「風が氣持ちいいじゃないか」と言った。「排気ガスが汚いから」と言われた。僕はその後も何かと、閉めなくていい理由を、言い連ねていた。

そしたら恩師の

よしだトレーナーが登場してきて

僕に一言言った。

「素直に言ったら?」

僕は、ハッとした。

そうなんだ。

窓を閉めるかどうかは

どうでもいい。

本当は、

この窓は俺の担当してる窓じゃない!

だから、そいつに言えよ!

それが言いたかったの。

言いたいこと

ハッキリ言わずに

遠回しで言い訳やアピール。

自分自身にこの一年は

「素直」を意識していくと

言ったばかりだろう!

そんなメッセージを伝えてくれる

はっきりとした夢だった。

心を、素直に、表現しよう。

#フォーチュンギフト

306【見つめる】

朝礼で50人くらいに向かって話している時、一番前でじっと僕を見つめる人がいた。じっと、真っ直ぐに、僕を見ていた。僕はその場の全員に向けて話しているので、全体を見渡しながら話していた。それでも、その視界の端からも、僕をしっかりと見つめているのをが伝わってきた。僕は話し終わって、今もらった視線を、頭の中で振り返った。

その人は、話を聴く相手を

じっと見つめていた。

僕は自分に問いかけた。

自分は最近

相手の話を聴くときに

あんなふうにしっかりと相手を

見つめていたか?

いや、そんな質問が出る時点で

出来ていなかったということだ。

人の話を聴くときは

相手を見る。

顔を向けるだけじゃない。

目を向けるだけじゃない。

心を向ける。

それが目に表れる。

そのことを氣づかせてくれた、

深い眼差しだった。

#フォーチュンギフト

305【空】

空は何色?そう聞かれたら青と答えていた。青、水色、空色。空はそんな色。でも、衛藤先生が、「空を見るといい」って話をしてくれて、一日、少しでもいいから空を見上げるようにした。大人になってから、いつしか見なくなっていた。いつも視界には入ってたのに。

毎日空を見てやっと氣づいたのは、

空は青くないということ。

多くの場合、空は灰色、白、まだら。

透き通るような青い空って、

滅多にないんだ。

そんな特別な空を空と思ってて、

そういった思い込みで、

氣にもしてなかった。

白の後ろにうっすらと青が見える時もあれば

時には赤く、時にはオレンジ、

紫のグラデーションも美しい。

空はどんどん変化する。

空は青いのは、空のほんのほんの一部。

よく見る空は

白い。

そして半分の時間は、黒い。

今日も、見上げてみよう。

空は何色?

#フォーチュンギフト

304【痕跡】

『果てしない物語』の中に、特別な山が出てきた。その山は誰かが登頂に成功すると、その後は誰も登頂出来なくなる。そして、登頂されたという記憶は忘れられ、記録も失われ、足跡や楔の跡も全て風化して消えた時、初めて登頂可能になるんだ。だから、その山を登った者は誰でも初登頂の称号を得る。

人も亡くなって100年もすれば

ほとんどの記憶からは消えてしまう。

歴史に何千年も

名を残すことがあっても

やがてはその記録も

永遠の時の先には

消えていくだろう。

自分の生きた痕跡は

やがて全ては消えていく。

だけど、

ただ一つ残るものがある。

それは

生きたという事実。

事実だけは

未来永劫

消えることはない。

#フォーチュンギフト