358【夜空】

流れ星を見るために外を歩いていた。なるべく暗くて良く見えそうなところを探して。近くの小川、工事中の広場。けど、どこへ行っても街灯やマンションの照明、広告看板が光っていた。そうか、都会というのは、明るいな。

そのとき、文明に感心しちゃった。

ここまで至るところを光らせている。

これはすごいことだ。

一体、いつだったろう?

暗い夜道を月明かりを頼りに歩く。

なんてことを最後にしたのは。

故郷での夜空を思い出す。

水源池の森の小屋に登り

よく空を眺めた。

真上の夜空が一番暗く

空と地上の境目は明るい。

地球の裏の太陽の光が

漏れているんだろうか。

空の下で淡く光る森と

漆黒の天蓋のコントラスト。

美しい光景だった。

夜道を照らす文明と

森の夜の自然の景色

夜空を見上げると

二つの感動が頭上に瞬くんだ。

#フォーチュンギフト

357【そうじゃなかったら】

ラジオであるサッカー選手がリスナーからの質問に答えていた。「サッカー選手になってなかったら何になっていましたか?」「僕よくこの手の質問聞かれるんですどね・・・。知らねぇよ、と。だってサッカー選手になるために頑張って来たんだもん。それ以外のこと考えてたらなれないでしょ」

この答えに痺れた。

「そうなる」ためには

「そうじゃなかったら」

なんてことは考えない。

そんなの入る余地がないから、

「そうなる」んだよね。

#フォーチュンギフト

#そうじゃなかったら

#そうなる

356【緊張】

本番前、ステージの後ろ側で待機している。前のチームが踊っている。緊張で心臓がバクバク。呼吸も早くなって、笑ってるんたけど顔が強張ってる。頭の中で次にやることを一通りイメージして、本番!よし!行くぞ!この緊張感が大事なんだ。今まで多分何百回も舞台に立ってきて、わかったことは、緊張と、いいパフォーマンスは連動する。

緊張が弱いときは

楽しいかもしれないけど、

いいパフォーマンスにならない

ことが多い。

アスリート選手の誰かが言ってた。

スタート地点に立って

緊張をしなくなったら

それが引退の合図だ、と。

緊張することはダメなことじゃない。

舞台袖の緊張こそが

僕にとっては

いい演舞をする大事な指標なんだ。

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355【憧れ】

僕の大好きな漫画、『メイドインアビス』。アビスと呼ばれる、深さが何万メートルあるかわからない大穴が舞台。その穴の奥底には、奈落の至宝が眠っていると言われている。そこに挑む探窟家たちには、様々な試練が襲いかかる。深く潜れば潜るほど、強くなる呪い。未来を読める怪物たち。この世のことわりを超えた遺物。死の充満する中を、探窟家たちはいったいどうやって進んでいるんだ!?その問いに

ナナチは言った。

「さぁな。

ただな これだけは分かるぜ

そんなものじゃ

あこがれは止められねえんだ」

そう、憧れなんだよな!

どんな困難があっても。

どんな試練があっても

それこそ、

ことわりじゃないんだよ。

普通やらないことも

到底出来ないことも

憧れが足を進め、手を伸ばすんだ。

止められねえんだ。

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354【はかり直す】

弁当屋さんでバイトしてた時、ごはんを200g容器によそるという作業があった。ざっくりよそって秤にのせ、足りなかったり多かったりしたら、増やしたり減らしたり減らしたりして、200gになるように調整する。プラスマイナス5g程度は許容範囲とはいえ、なかなか一発では決まらない。2、3回よそい直して、やっと上手くいく。

アルバイトの先輩で、その仕事が、やたら速い人がいた。

いったい、他の人と何が違うか?

それは、はかる回数が他より

1回少なかったんだ。

例えば1回目よそったときは

170gだったとする。

そうすると、もう少し追加して

はかり直す。

今度は190gだったとする。

再度もう少しだけよそって、はかり直す。

今度は200gピッタリ。

これでOK。

みんなそうやっていた。

ところがその人は

最後の1回をはからなかった。

190gにちょっと追加して

はからずに

そのまま梱包してたんだ。

それで早かった。

長いことやっていれば

10gならほぼ正確にわかるようになる。

200gを一回でよそることは出来なくても

190gに10g足すのは、出来る。

はかり直す必要がない。

と言って目分量で10g追加した

そのご飯は

ピッタリ200gだった。

あのことを思い出すと

今も日常の中で

確かめなくていいことを確かめて

省略できることを省略せず

時間を費やしてしまってることが

あると思う。

10g量ることは

もう正確に出来るのに。

今の自分にとっての10gとは、なんだろう。

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353【カイワレ】

1995年O-157の集団食中毒が世間を騒がせた。数日後、政府はこの原因は「カイワレ」かもしれないと発表した。その日から、全国のスーパーではカイワレが売れ残り、大量に廃棄された。カイワレ業者は大打撃を受けた。そのニュースが流れていたとき、うちの両親は、カイワレを買ってきた。

父は言った。

「O-157の原因がカイワレであるはずかない。輸入肉だ。」

母は言った。

「カイワレ業者さんがかわいそうだ。応援しよう」

テレビであれだけ放送されて、あれだけ売れ残りの中で、うちの食卓に並んだカイワレ。

僕はそれを食べながら、

事実がどうかよりも

自分の信念に基づいて行動する両親に

カッコいいなって思ったんだ。

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352【宇宙と命】

また、父の話を。父が亡くなる1ヶ月前、僕はもう一度聞いた。「ねぇ、お父さん、死ぬのが怖くないの?」そしたら、こう語り出した。「130数億年前、ビックバンが起こった。」と。

インフレーションが起こって宇宙が膨張し、様々な原子が生まれ、それらが集まり星を作り、銀河を創り、やがて太陽系が出来て地球が生まれた。

地球には水があり、生命が生まれ、原始生命は進化して哺乳類となり、人となった。宇宙の歴史から見ると、地球の歴史、人類の歴史はちっぽけで、その中でお父さんの人生なんて無に等しいようなほんの一瞬のことだ。と。

死ぬのが怖くない?の質問に対して

宇宙創生の話をする人は何人いるだろう?

と僕は聞ききながら思った。

そうなんだよね。

宇宙から考えると

人の一生なんて

ちっぽけで

一瞬のことなんだよね。

悩んだり、怖くなった時は

そう考たらいい。

この視点を持って

生きていくんだよって

教えてくれたんだ。

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351【怖くないの?】

お父さんが、病氣でもう長くないとわかったある日、僕はお父さんに聞いた。「ねえ、僕は、死ぬのが怖いって思ってしまう。お父さんは、怖くないの?」そしたら、こう返ってきた。「怖がって死なずにすむならならなんぼでも怖がるけど、怖がったって病氣は治らない。だったら残りの人生、怖がってる時間だけ無駄でしょ。」

いや!そうだけど!

とツッコみたくなった。

確かにそうだよ。

怖がったり不安になったりしても

現実が変わらないなら

考えるだけ無駄かもしれない。

それは、正論、なんだろうけど。

みんな、そんな悟った考えは出来なくて

感情で物事を考えちゃって

だから悩むんだよ。

それを

死ぬことに対してさえ

悩む意味ないしょ。

って言い切っちゃう強さ。

お父さんすごいなと思った。

僕にはそこまでは出来ないと思うけど

今後人生で

怖くなって、動けなくなってしまうとき

ちょっとだけお父さんの力借りよう。

怖がったって、悩んだって

現状は変わらない。

その分、今を動こう。

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350【決断】

決断。と聞くと、やると決めることだと思っていた。だけど文字をよく見ると、決断という言葉は、「決める」と「断つ」で出来ている。断つことを決める。多くの選択肢の中で、何かをやる、ということは、それ以外の全てはやらない、ということ。一つを選ぶことにエネルギーが行きがちだったけど、他の全部を手放すと決めることが大事なんだ。

決断とは、断つことなんだ。

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349【見なさい】

小さい頃、お母さんとテレビを見てたら、戦争の番組がやってた。東京大空襲の番組だったと思う。黒焦げの死体が映った。僕はそのとき、ちょっとふざけて「わー!」と目を覆った。そしたらお母さんは「見なさい」と僕に言ったんだ。

「戦争で、人はこうなるんだよ。」と。

今すごく大事なことを言われた。

これは目を背けてはいけない。

忘れてはならない。

子どもながらに、

今の教え

ずっと大切にしておこう

そう思ったんだ。

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