354【はかり直す】

弁当屋さんでバイトしてた時、ごはんを200g容器によそるという作業があった。ざっくりよそって秤にのせ、足りなかったり多かったりしたら、増やしたり減らしたり減らしたりして、200gになるように調整する。プラスマイナス5g程度は許容範囲とはいえ、なかなか一発では決まらない。2、3回よそい直して、やっと上手くいく。

アルバイトの先輩で、その仕事が、やたら速い人がいた。

いったい、他の人と何が違うか?

それは、はかる回数が他より

1回少なかったんだ。

例えば1回目よそったときは

170gだったとする。

そうすると、もう少し追加して

はかり直す。

今度は190gだったとする。

再度もう少しだけよそって、はかり直す。

今度は200gピッタリ。

これでOK。

みんなそうやっていた。

ところがその人は

最後の1回をはからなかった。

190gにちょっと追加して

はからずに

そのまま梱包してたんだ。

それで早かった。

長いことやっていれば

10gならほぼ正確にわかるようになる。

200gを一回でよそることは出来なくても

190gに10g足すのは、出来る。

はかり直す必要がない。

と言って目分量で10g追加した

そのご飯は

ピッタリ200gだった。

あのことを思い出すと

今も日常の中で

確かめなくていいことを確かめて

省略できることを省略せず

時間を費やしてしまってることが

あると思う。

10g量ることは

もう正確に出来るのに。

今の自分にとっての10gとは、なんだろう。

#フォーチュンギフト

353【カイワレ】

1995年O-157の集団食中毒が世間を騒がせた。数日後、政府はこの原因は「カイワレ」かもしれないと発表した。その日から、全国のスーパーではカイワレが売れ残り、大量に廃棄された。カイワレ業者は大打撃を受けた。そのニュースが流れていたとき、うちの両親は、カイワレを買ってきた。

父は言った。

「O-157の原因がカイワレであるはずかない。輸入肉だ。」

母は言った。

「カイワレ業者さんがかわいそうだ。応援しよう」

テレビであれだけ放送されて、あれだけ売れ残りの中で、うちの食卓に並んだカイワレ。

僕はそれを食べながら、

事実がどうかよりも

自分の信念に基づいて行動する両親に

カッコいいなって思ったんだ。

#フォーチュンギフト

352【宇宙と命】

また、父の話を。父が亡くなる1ヶ月前、僕はもう一度聞いた。「ねぇ、お父さん、死ぬのが怖くないの?」そしたら、こう語り出した。「130数億年前、ビックバンが起こった。」と。

インフレーションが起こって宇宙が膨張し、様々な原子が生まれ、それらが集まり星を作り、銀河を創り、やがて太陽系が出来て地球が生まれた。

地球には水があり、生命が生まれ、原始生命は進化して哺乳類となり、人となった。宇宙の歴史から見ると、地球の歴史、人類の歴史はちっぽけで、その中でお父さんの人生なんて無に等しいようなほんの一瞬のことだ。と。

死ぬのが怖くない?の質問に対して

宇宙創生の話をする人は何人いるだろう?

と僕は聞ききながら思った。

そうなんだよね。

宇宙から考えると

人の一生なんて

ちっぽけで

一瞬のことなんだよね。

悩んだり、怖くなった時は

そう考たらいい。

この視点を持って

生きていくんだよって

教えてくれたんだ。

#フォーチュンギフト

351【怖くないの?】

お父さんが、病氣でもう長くないとわかったある日、僕はお父さんに聞いた。「ねえ、僕は、死ぬのが怖いって思ってしまう。お父さんは、怖くないの?」そしたら、こう返ってきた。「怖がって死なずにすむならならなんぼでも怖がるけど、怖がったって病氣は治らない。だったら残りの人生、怖がってる時間だけ無駄でしょ。」

いや!そうだけど!

とツッコみたくなった。

確かにそうだよ。

怖がったり不安になったりしても

現実が変わらないなら

考えるだけ無駄かもしれない。

それは、正論、なんだろうけど。

みんな、そんな悟った考えは出来なくて

感情で物事を考えちゃって

だから悩むんだよ。

それを

死ぬことに対してさえ

悩む意味ないしょ。

って言い切っちゃう強さ。

お父さんすごいなと思った。

僕にはそこまでは出来ないと思うけど

今後人生で

怖くなって、動けなくなってしまうとき

ちょっとだけお父さんの力借りよう。

怖がったって、悩んだって

現状は変わらない。

その分、今を動こう。

#フォーチュンギフト

350【決断】

決断。と聞くと、やると決めることだと思っていた。だけど文字をよく見ると、決断という言葉は、「決める」と「断つ」で出来ている。断つことを決める。多くの選択肢の中で、何かをやる、ということは、それ以外の全てはやらない、ということ。一つを選ぶことにエネルギーが行きがちだったけど、他の全部を手放すと決めることが大事なんだ。

決断とは、断つことなんだ。

#フォーチュンギフト

349【見なさい】

小さい頃、お母さんとテレビを見てたら、戦争の番組がやってた。東京大空襲の番組だったと思う。黒焦げの死体が映った。僕はそのとき、ちょっとふざけて「わー!」と目を覆った。そしたらお母さんは「見なさい」と僕に言ったんだ。

「戦争で、人はこうなるんだよ。」と。

今すごく大事なことを言われた。

これは目を背けてはいけない。

忘れてはならない。

子どもながらに、

今の教え

ずっと大切にしておこう

そう思ったんだ。

#フォーチュンギフト

348【世界は愛で変わる】

衛藤先生が言っていた。暴力では世界は変わらない、と。相手を理解し、受け入れたとき、世界は変わる。

世界を変えると言うと何か大きなことをしなくちゃいけないと思うかもしれないけど、まずは、自分と相手の小さな争いを止めることから始めてみよう。

今、苦手な人の

良いところを見つけよう。

今、対立してる人の

立場になって考えよう。

今、嫌いな人に

してもらったことを探そう。

今、隣人を愛そう。

理解しあい、受け入れよう。

たった1人の変化は

小さいかもしれない。

でもね、

その小さな愛が

影響しあって

積み重なって

愛情の連鎖となって

世界を変えていくんだ。

#フォーチュンギフト

347【攻撃型】

あるワークを行ったあと、感想シェアの時間があった。シェアしたい人は前に出て、自分の感じたことを話す。僕は前に出て発言した。だけど、僕のあとに続く人はいなかった。僕は、なんで話さないんだろう?前に出て話せばいいのに!と不満だった。

それが声になって出た。

「次の人は?これで終わりですか?」

僕はそれを行った後、

自分のパターンに氣づいた。

怒りでもって言葉を発し

期待を押し付けた攻撃型の

コミュニケーションをしてた。

もし、あのとき、

「終わりですか?」ではなく

「ぜひあなたの話を聞かせてください」

と言ったらどうなったんだろう?

もっと違うコミュニケーションが

あったはずだ。

そしてしばらく後

人前で司会をしながら

皆の意見をまとめていく機会をもらった。

今度は攻撃しない

コミュニケーションをとろう。

「意見ある人いませんか?」

聞いても誰も手をあげなかった。

そのとき、

前とは違う言葉を言えた。

「あなたのシェアが

みんなの学びになります。

ぜひ、想いを発言してみてください。

『前の人と同じです!』だけでもいいです。

あなたのシェアを聞かせてください。」

そして発言があり

その人に対して

心からのありがとうを言えた。

引き出し、受け取る

コミュニケーション。

攻撃を受容に。

自分のコミュニケーションに

氣づいて変えるんだ。

#フォーチュンギフト

346【絶滅と進化】

生命はどのようなときに進化するのだろうか。地球は、氷河期などの大きな環境の変化が幾度もあって、生命はその度に絶滅の危機に瀕してきた。しかし、その過酷な環境下でこそ、急激な進化を遂げて生き残ってきたそうだ。そうか!進化とはそういう状況でより起こるものなのか!そのことにハッとした。

僕らは、

過酷な環境を生き抜いてきた生命

の子孫なんだ。

逆境でこそ変化し成長出来る能力が

僕らのDNAに刻まれているんだ。

#フォーチュンギフト

345【体育会のお決まり】

大学時代、体育会の部活に入ってた。体育会ってさ、理不尽なこともあるんだけど、慣れてくると暗黙のルールというか、お決まりのやり取りってものがあるのね。それをわかってくると楽しめるようになってくる。
4年生の夏合宿、複数の大学との合同合宿だった。色んな大学のOB先輩が来た。
 
午後練が終わって晩御飯を食べたあと
OB先輩たちから招集がかかった。
 
3,4年は集まれーって。
 
先輩の部屋で、今から宴会が始まるわけだ。
 
ある酒好きなOB先輩が
日本酒の一升瓶をドンッ!
と置いて一言
「OBと現役で飲み比べしようやー」
 
おっと!来ましたー!
 
最初はどうしようかと思うけど
このときの対応には正解がある。
 
体育会の面白さは、
どれだけお決まりの茶番を
楽しく演じられるかによる。
 
OB先輩は本当に飲み比べしたくて
言ってるんじゃないくて
学生が飲んでるのを見るのが楽しいんだ。
 
というわけで、
こう答える。
「押忍、先輩。
先輩と飲み比べだなんてそんな。
自分らで飲ませていただきます!」
 
一列に並んで
端から一升瓶を回し飲みしていく。
もちろんコップなどはない。
ラッパ飲みである。
 
そして、飲み方にも答えがある。
 
最後の一人で少し残すんだ。
 
この残し加減が重要で
残し過ぎても、ダメだ。
 
ちょっとだけ残して
「すいません!
飲みきれませんでしたー!
負けましたー!」
って言って
「ガッハッハ、情けねーなー。
でもよく頑張った。」
みたい感じで終わるわけだ。
 
ところが!
 
そこで事件が起こった。
 
最後から二人目のやつが
何を思ったか全部飲み干してしまった。
 
「おいおい!!」と
心の中で叫ぶ。
お約束の流れが出来ねーじゃないか!
 
OB先輩も、
無くなったもんはしょうがない。
 
「足りなかったようだな」
と、もう1本、一升瓶を出してきた。
 
これ多分
後で飲もうと思ってたやつだろうなー。
 
しょうがないので2周目に入る。
 
そうなるともう酔いすぎてて
誰も何もわからなくなる。
最後にちょっと残す流れとかは吹き飛ぶ。
 
勢いにまかせて
2本目も空けてしまったので
あとで先輩が飲むはずだったであろう
ウイスキーとかが出てくる。
 
 
全員ベロベロになって解散。
本能でこのまま寝るとヤバい!と思い
水道の水をがぶ飲みして
胃の中を中和してから吐く。
また水飲んで吐く。
 
のちに聞いた話しでは
後輩たちは布団に入りながら
3,4年の先輩が夜中中吐いてる声を聞いて
来年はああなるのかと
怖くて震えていたそうだ。
 
 
次の日は完全なる二日酔い。
 
朝日さす美しい浜辺を
ランニングしながら
海に向かって吐く。
 
午前練もまだ酒が残ってて気持ち悪い。
 
昼飯食べて
午睡して
午後の練習でやっと酒が抜けて
防具練でボコスカ殴って
そして夜になると、
よっしゃ飲むかー!の繰り返し。
 
そんな合宿。
 
 
あのときは大変だったし
あの時代だから
出来てたこともあるだろう。
 
今振り返ると
体育会でしか味わえないあの出来事たちは
貴重な思い出として胸に刻まれている。
 
 
#フォーチュンギフト