291【ポイッ】

服を脱いだら、ポイッ!洗濯物は、勢いよく洗濯かごに投げ入れてた。シュパンと入れば氣持ちよかった。そんなポイポイ投げ入れてたある日、ふと思った。この洗濯物って、汚れたのは、私が着たからなんだよな。私の身体の盾となって、汚れてくれたんだ。それをポイッって投げ入れるのはどうなんだろう?それからというもの洗濯物は洗濯かごまで行って、上から優しくふわっと置くようにした。ありがとう、と心でつぶやいて。

それが習慣になったころ

ゴミについても

同じことを思った。

ゴミこそ

ゴミ箱に向かって投げて

スポッと入るとゴール!

そんな捨て方してた。

待てよ。と思う。

このゴミも、

さっきまではゴミじゃなかったよな。

鼻をかんだからゴミになったけど、

さっきまでは

きれいなティッシュだった。

破ったからゴミになったけど、

さっきまでこの包装紙が

商品を守ってくれてた。

私のせいでゴミになったのに

さらに投げ入れるのは

どうなんだろう。

ゴミ箱の上まで持っていって

ありがとう。

心でつぶやいてから

ふわっとゴミ箱にいれるようになった。

当たり前になってて

氣づかなかった。

私が汚し、私がゴミにした。

私を守るために、便利に生きるために

役割を果たしてくれた。

そんなものたちは

当たり前の「ポイッ」から

ありがとうの「ふわっ」へ

まわりの物に

感謝を込めて。

#フォーチュンギフト

290【乖離】

大学のとき、美術史の授業で、美術館について話していた。美術館というものが確立してきたのは、割と近代になってからだ。つまりそれより前の美術作品というのは、このような形で大衆の前に並べられて鑑賞されることを想定して作られていなかった。宗教的役割だったり、個人の観賞用だったりという目的で作られていた。だから僕たちが美術館でその作品の前に立つ時、それが作られた時代や、役割や、意図とは、実は大きな乖離がある。

僕らはそれらを踏まえて

その美術作品と向き合わなければ、

その作品の本当を味わうことは出来ない。

僕はその話がとても印象に残っている。

そしてそれは

人も同じことだと思うんだ。

人と出会って、その人を見たとき

すごいなとか、合わないなとか。

いろんなことを思う。

でも、僕らは

その人と出会った瞬間からしか

その人を知らない。

その人は

生まれてから

色んな人生を歩んできてる。

喜びも、苦しみも、

学びも、経験も。

生まれてきて、

育ってきて、

経験してきた背景があって

今があるんだ。

自分が出会ってからのその人を見て

ああだ、こうだと言っても

その人の本当と

今私が知っているその人の間には

大きな乖離があるんだ。

それを意識し

わかろうとすることで

その乖離は埋まっていくんだ。

#フォーチュンギフト

289【光の道】

銀座駅に着く頃、僕はいつも同じ曲を再生し始める。この道を歩くときの景色がこの曲に染み込んで、いつでもまた味わえるように。地上に出て、人通りの多い道を進む。ブティックの並ぶ通りに出て、信号で一休み。通りを渡り、木陰で涼みながら、ゆっくりと道を歩いていく。近づくにつれ、自分の心が楽しみに満ちていくのを感じる。

今日はどんな学びがあるだろう?

今日はどんな人と話せるだろう?

今日はどんな感情を味わうんだろう?

今日はどんな自分と出逢えるだろう?

キラキラとしたエネルギーが

身体中を巡っていく。

キラキラはどんどん増えていって

溢れ出してくる。

だったら、道ゆく人にお裾分けだ。

右手からキラキラのエネルギーを

歩道に落としていく。

ここを踏んだ人は

幸せが訪れるよ。

何本も何本も

通うたびに光の線を描きながら

ワクワクしながら向かった。

1階のテナントが目に入る。

もうすぐだ。

2つあるエレベーター

どっちが早く来るかな?

エレベーターに乗り、音楽を止める。

8階に着いてドアがあいたら

迎えてくれるのはいつもの笑顔。

あ、タティーおはよう。

ありがとう。

日本メンタルヘルス協会東京校

向かう道には

たくさん輝きを残してきた。

だから今度は

そこから先へ進む道を

照らしていこう。

#フォーチュンギフト

288【挑戦】

色々挑戦していてすごいねって、言われることがある。ありがとう。実は、そう見えているかもしれないけど、本当は僕は、挑戦を避けているんだ。挑戦とはなんだろう?僕のイメージは、出来ないかもしれないことをやることだ。その点僕は、出来ることしかやってない。出来ないかもしれないことは、怖いからね。

でも恐れていては何も出来ない。

かと言ってやるのは怖い。

じゃあどうすればいいのか?

それで僕は、別な選択を

することにした。

挑戦を、

挑戦じゃなくすればいいんだ。

何度も何度も練習して

これだけやったら失敗しないでしょ。

っていうレベルまで引き上げる。

いっぱいいっぱい準備して

失敗するかもしれない

危うい要素を潰しておく。

そうすれば、挑戦はいつしか

当たり前の延長に来る。

やりたいけど、

挑戦への怖さを克服出来ない。

そんなときは

出来るようになるまで

練習して、準備して、

挑戦じゃなくしちゃえばいいんだ。

#フォーチュンギフト

287【着く】

バックパッカーの旅に出発するときのこと。成田空港で不安になった。海外で、一人で、生きていけるのだろうか?帰りの飛行機は取ってない。帰りたくなったとき、向こうで飛行機を取れるだろうか?怖くなって、震えた。でも、行くって決めてたから。僕は飛行機に乗った。

そして、飛行機が飛び立ったとき、思った。

ああ、あとはもう現地に着くんだ。

僕の夢だった旅が、今始まった。

僕がやったのは、

飛行機に乗ったこと。

怖くても、不安でも。

関係ない。

乗ったら、着くんだ。

#フォーチュンギフト

286【資格】

人に何かを言う時、じゃあ自分はそれが出来てるのかって考えてしまって、言えなくなってしまうときがある。自分にはそれを言う資格なんてないんじゃないかって。じゃあその資格はどうすれば手に入るのだろうか。僕は思う。資格なら、すでに持っている。それは、そう思ってしまったから。

思ってもないことなら

言わなくていい。

でも思ってしまったなら

あなたの中にすでにそれはある。

もしいつも、

言いたいけど、資格がないから

やっぱり言えないと

飲み込んでしまっているのなら

ほんとうはどうしたいのか

自分の心に

素直に耳を傾けよう。

#フォーチュンギフト

285【お皿】

よく行ってたお店での出来事。僕はそこのマスターが好きで、一人でよく食べに行っていた。たまにお酒を頼んで、お客さんが少ない時は、マスターと話しながら飲んでた。そこには一人の従業員がいた。ある日行った時、その人の様子がおかしかった。うまく歩けないようで、フラついていた。大丈夫かな?と心配になった。僕以外のお客さんが帰ると、その人はお皿を片付け始めた。でも、足がおぼつかない。

マスターもそれを見て

○○さん、やらなくていいから!

と言っていた。

そして続けてマスターは言う。

○○さん、

もう帰って。

そんなんじゃもう

仕事出来ないでしょ。

隠れて飲んでるの知ってんだから!

あららー。

酔っ払ってるのねー。

そりゃ帰ってと言われるわー。

でもその人は、

フラフラしながらお皿を重ねて

流しに下げていく途中に

よろけて落としてしまった。

ガッシャーン!

おいおい、大丈夫か?

マスターが僕に

すいませんね。

と言いながら、

その人の元に行く。

その人は、

割れたお皿を拾おうとしている。

でも

酔ってるから危なっかしい。

それを見てマスターが言う。

怪我するから。

片付けなくていいから。

危ないから。

やらなくていいから。

怪我したら大変だから。

僕は聞いてて、

感動した。

だって、僕だったらね。

仕事中にこっそり酒飲んで

店のお皿割った従業員なんかいたら

何やってんだー!

だから言ったろう!

店のもの壊しやがって!

もう帰れー!!

と怒鳴るよ。

だけど、

そのマスターは。

危ないから。怪我するから。

と、

お皿を割ったことには

一言も触れず。

その人の心配事しか言わなかった。

僕は、ただその声を聞いていた。

その店は、今はもう

閉めてしまった。

そしてマスターが今

どうしてるかはわからない。

でも、もしまたどこかで

店をやってるなら

ああいう人の店で

僕は食べたい。

#フォーチュンギフト

284【距離】

作物や果実は、実ったところから手元に届くまでに、たくさんの人の手を通り、遥かな旅路を経てやってくる。北海道で採れたもの。オーストラリアで育ったもの。アメリカ大陸産のもの。海を渡り、大地を駆けて、長い旅路を経験してきている。僕はそれを167【旅をする食事】で書いた。でももっと長い旅のことに氣づいた。それは、その実に宿した光。そう、太陽の恵みのこと。

太陽ははるか遠くから光を届けてくれている。

その距離、1億5000万キロメートル。

はるか彼方だ。

1億5000万キロメートルとは

飛行機で行っても20年かかる。

車で飛ばしても170年かかる。

その果てしない旅路を越えて

やってきた光で育った作物たち。

それをいただくということは

太陽からの遥かな距離を

この身に宿すということなんだ。

宇宙の旅を、味わおう。

#フォーチュンギフト

283【世を去る】

人はいつかこの世を去る時がくる。そのときは、ただ命が尽きて去るのではなく、愛する人に命を分けて旅立つんじゃないか。そう感じる。

#フォーチュンギフト

282【写真】 

昔、カメラは撮っても現像屋さんに出さないと写真に出来なくて、時間も手間もかかっていた。フィルム代もかかるから、一枚一枚無駄に出来なかった。ところが今は、スマホ、デジカメで何枚でも氣軽に撮れる。同じ写真を何枚も撮って、あとで一番いい一枚を選べばいい。それはとても便利なこと。だけど、それに慣れたら、何回でも出来るという緩みの裏で、一回一回を大切にすることが薄くなっていく自分に氣づきた。

だから今、あえて心がけている。

何度でも撮り直せるデジタルでこそ

一回で決める!

毎回その氣概を持って撮ることで

その瞬間を大切にすることを

自分に取り戻す。

一回で写真を撮ることを通じて

薄れかけてた自分の心の部分を

鍛えるんだ。

#フォーチュンギフト