![](http://ta-ca-si.com/wp-content/uploads/2019/09/134【フランス時間】134-1024x768.jpg)
学生時代、南フランスのイェールという港町にホームステイをしていた。ある休日、ポルクホール諸島という国立公園へ行くことにした。船の時間を調べると港を9時に出航する。港に向かうバスを調べると1番早くて8時25分発、8時55分着だった。ギリギリだが間に合う。
俺はその日早めに家を出て、バス停へと向かった。
バスに乗り込むと
運転手はまだ来ていなかった。
時間になっても、運転手は来ない。
たまりかねて探しに行くと
喫煙所でタバコを吸っていた。
「もう時間だよ」
「わかってるよ。待ってな」
しぶしぶバスに戻り
バスは結局5分遅れで出発した。
出発すると運転手は
自分の好きな音楽をかけだした。
自由かよ!
しばらく走っていると
反対車線に知り合いを見つけて、
「おおーい、○○!乗ってけよ」
バス停じゃないところで人乗せた。
自由かよ!
俺は心配になって、運転手に質問した。
「時間通りに着くんだろうな?」
「船に乗りたいんだろう」
「そうだ」
「任せときな」
不安は消えないが、乗ってるしかない。
結局バスは、港に
9時ちょうどに着いた。
「な?間に合っただろう?」
うるさいわ!と思ったけど
文句を言う暇もない。
運転手を尻目に、船へダッシュ!
チケットを買って
なんとか出航前に乗ることが出来た。
フランスのバスはどーなってんだ!
とプンプンしながら
外を見ていて、
しばらくしてから氣づいた。
船も全然出航しねー!!
ああ、これがフランス時間か。
日本に慣れすぎると
数分遅れただけでやきもきしちゃう。
たまには、
焦らず、
ゆっくりと、
フランス時間で、
心穏やかに過ごそうじゃないか。